宝塚、そして時々競馬 石和田治樹のブログ

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【宝塚】宙組「Never Say Goodbye」新人公演配信感想

4月14日(木)18時30分開演

当日はいつもの大セリが新人公演の前の公演から壊れてしまい、ジョルジュ(真風涼帆)が野戦病院で弾丸を取る手術の場面は野っぱらで、ヴィセントの実家は何だか広い屋敷みたいな場所でと場面が大幅に変わって、15分押しだった。西から来た人は帰りの新幹線間に合ったかなと心配してしまった。
それでは各人の評価(敬称略)

 

風色日向(102期)
コロナ直前の2020年1月頃に例の「大阪万博アンバサダー」に宙組担当として就任、他の組が100期・101期だったで一番下級生、しかもバリバリの路線である101期鷹翔千空を差し置いての就任だっただけに大いに驚かされたものだった。
しかも不幸にして、2020年に休演した公演がコロナ禍で大幅に時期がズレるという大惨事のため、その年をほぼ棒に振り、復帰したのは何と「ホームズ」から。その間、他組のアンバサダーがバウ主演など勝ち取っていくだけではなく、宙組内でも1期下の亜音有星の大躍進があり、今回の公演で初スチールに登場したものの、順番は亜音の下という結構な屈辱も得た。
で、二度めの新人公演主演だが、今までの停滞を一掃したような演技を見せた感があった。元々長身で歌も上手いし、ルックスも悪くない。問題は亜音とどう使いわけていくのか、アンバサダーの苦悩はまだまだ続く。つか、万博やれるの?

 

春乃さくら(102期)
主演と同期。「カワイ子ちゃん(死語)」という言葉がピッタリの娘役で(それでいて宙組らしく長身)、下級生時代から本公演で歌やエトワール、ディナーショー出演と歌の上手さには定評があったが、最終成績は組内5番目に留まっている上、同期がトップ娘役として降ってきたため上がり目?と思ってたから、今回の主演抜擢には非常に驚いた。それで公演だが、残念なことに今まで別箱でも娘2らしい役にほぼ就いたことがないので、経験の少なさが微妙に見えた感じがした(もっともこれは新人公演を取りやめていた時期があったためという不可抗力もあった)。現トップ娘役のようなトップ娘役になる前から「得意なこと=真ん中にいること」という属性とは明らかに違った。せめて大劇場で一度新人公演をできていればと思った。得意な歌も得意そうなキーが本役とは明らかに異なっていて、歌で差を付けることは難しかったか。本役のキーが初演のお花様に比べて本役用に下げていたという噂さえある。彼女ならオリジナルキーで歌えたろうに。これは「ホームズ」の主演ヒロインにも同じことを感じたので、本役さんの「特異さ」を感じざるを得ない。
なお、次の公演は桜木みなと主演の「カルト・ワイン」になるが、天彩峰里、愛未サラ、山吹ひばりといった面々は全員「FLY WITH ME」の方へ行ってしまい、ずんちゃんの相手役になれそうなのは新人公演ヒロインを辛うじてやれた彼女だけ。これから路線に上がって行く可能性があるので、今後に注目したい。

鷹翔千空(101期)
今回は長の期の長を務め、舞台挨拶もあった。明らかに経験の差があり、凄みが他とは違うし、本役とも違う。特に何かを付け加える必要もない。

亜音有星(103期)
今回は「オーシャンズ11」に続き本役桜木みなとの悪役。第一印象は「顔がぷっくりしてるな。」ずんちゃんも丸顔でそういう傾向はあるが、最近は目立たないからこれは体重調整の問題か。大柄で今のご時世の東京公演では身体を動かす機会に乏しいだろうから仕方がないが、ベネディクトよりは演技と歌に進化が見えるので、一層の精進を願う。

愛未サラ(105期)
入団時成績であの山吹ひばりを差して現在組内首席。今の宙組の下級生に多い小柄の男役より立派な体格をしている娘役なのだが、今回はそれを十分に生かした形でとにかく今まで以上に華やか、そして本役とは違っていかにもハリウッド女優のパブリックイメージである頭カラッポぶりを匂わせさえしていて、正に「大女優」然とした容姿で今回の新人公演では大優勝レベルだった。

山吹ひばり(105期)
いわずと知れた「105期娘役四天王」の一人。属性的に今回の新人公演で入れる役はなかったので、あの役なのは仕方がない。超美人で容姿端麗演技歌よしなのだが、全てを兼ね備えているように見えながらあの「声」でそれをかなり割り引かれる。残念ながら過去のトップ娘役で普段の声がああいう人は見たことがないが、今回もかなり気を付けていたようで改善の効果が見えていたので、更なる精進を願いたい。あと宙組の娘役はあそこまでスリムでなくてもいいかも。

朝木陽彩(104期)
本役が男役、いくら同じ歌うまとはいい、本役の持つ強烈なをどう現すかと期待していたが、歌でそれを表現するとは。とにかくカゲソロなどで聴かせる得意の高音だけではなく中音の伸びがすさまじい。まるで佐々木朗希が投げた164キロのストレートのような歌をその場で食らった観客はかなり消耗したと思う。

その他
輝ゆう(102期)
最近ライトな客やスカステ視聴者を湧かしている。自分がこの人を「発見」したのは宙組天は赤い河のほとり」の新人公演。戦士だか将軍の役で、「なんだかすごい容姿の人がいる」と。研7になるのだが、別箱にほとんど出演せず(できず?)、本公演ではほとんどモブ扱いで歌もセリフもない、ショーではロケットにも黒燕尾にもいないという人で宙組のレアキャラ」的存在。事実次の宙組の別箱もどちらにも出演なしのお休み組。だから昨年の全国ツアーで珍しくメンバーに入った時は、「ネバセイで退団それも集合日退団か」と覚悟して全ツのチケを増やしたりしたらネバセイ以後も残留で驚いた。それでいて容姿がああで、後ろにいてもとにかく目立つ。今回の本公演では意図しているのかスポットライトがあたる人の後ろにいて舞台から見えたり画面から見えたりする。しかも最近ショーでウインクを決めることが多数で、着弾して宙組のウインクマシン」に落ちた方も見受けられる。今回は初?となるセリフ歌が聴けたのだが、至って普通。次の新人公演は長の期なんだから、もう少し抜擢というか別箱メンバーに入れてほしいなあ。

その他嵐之真(104期)、郁いりや波輝瑛斗(以上106期)あたりは芝居の巧拙はわからないが、とにかく長身で目に付きやすかった。